トップメッセージ

新たな価値創造に挑戦

代表取締役社長上原 明

正製薬ホールディングス代表取締役社長上原明の写真

はじめに

新型コロナウイルス感染症に罹患された方ならびにご家族の方に心よりお見舞い申し上げるとともに、予防 や治療に従事されている方々、またその関係者の方々に深く感謝と敬意を表します。

当社としましては、長期化による影響も念頭に置き、徹底したリスク管理のもと事業への影響を最小限におさえるべく取り組んでまいります。

環境の分析(着眼大局)

現在、我々を取り巻く時代の流れを見てみますと、時代の特徴として大きく2つのポイントがあると考えております。

1つ目は、グローバル化による社会の変化です。人、金、モノ・情報・技術・医療等が進歩することにより、豊かさが広がり、人口急増・高齢長寿、また生活者が主権を持つ社会に変化しました。一方で、地域間、富、教育・情報での格差が拡大し、また乱獲や気候変動、エネルギー問題等の資源環境問題が起こるいびつな豊かさを持った社会になったと考えております。

2つ目は、新たな社会への変化です。世界が直面する貧困や飢餓、健康と福祉、環境、社会正義等の問題に対し、2015年9月の国連サミットで、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げられ、達成に向けて全産業が従来のビジネスモデルからの転進・転化が求められる時代でもあります。日本でも経済の発展と社会的な課題の解決に向け、日本が目指すべき未来社会の姿として「Society 5.0(ソサエティ5.0)」が提唱されています。これは、デジタル技術で全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有されることで、経済発展と社会的課題の解決を両立する新しい社会が生まれると考えられています。これからの時代は、既存の産業は従来のビジネスモデルだけでは生きていけなくなり、ビジネスモデルを変更するか、あるいはそれを進化させなければ生き残れない時代になりつつあると考えています。

大正製薬グループの取り組み(着手小局)

2019年度を振り返りますと、当社にとって変革のタイミングとなる1年であったと考えております。当社は市場環境の変化に対応できる筋肉質な体制となるために2018年度に早期退職優遇制度を実施しました。従って2019年度は新たな体制のもとで効率のよい働き方を追求し取り組むスタートの1年となりました。また、フランスのUPSA社、ベトナムのDHG社(ハウザン製薬)を子会社化し、海外展開において新たな事業基盤を手にした年でもあります。これにより当社の海外売上高比率は2019年度では24.1%となり、年間を通じて連結する2020年度には30%以上となる見込みです。また連結により従業員が約4,500人増え、当社グループ従業員の約半分は外国人となり、社内人材のグローバル化も進みました。

当社は、これからも新たな価値創造に向けた挑戦を続けます。その為に、先述のように時代の流れを大きく捉えるとともに、その時代の流れに良い意味で乗りながら、目指す方向に一歩ずつ歩みを進めていくことが重要と考えております。

セルフメディケーション事業の分野では、小売企業のM&Aによる大型化に伴い買い手側の力が強まることにより、ビジネス環境が変化してまいりました。また、特定保健用食品・機能性食品等が大幅に増加し、2兆円に迫る市場を形成しています。一方で、急速に進む高齢化に伴う医療財政と社会保障制度を背景に、生活者が「自分の健康は、自分のために、自分で守る」という新しい考え方が求められており、この考え方を行動につなげるため、セルフメディケーション税制を一層広める活動が業界団体を中心に進んでおります。その環境下において、当社は変化する生活者のニーズや購買行動に対応した商品開発、販売チャネル開拓を行い、さらにスイッチOTCやセルフメディケーション分野の製品開発を進めること、また小売企業の変化に対応した営業体制の構築を進めております。

海外事業においては、まずは子会社となったUPSA社、DHG社(ハウザン製薬)一刻も早く大正製薬グループの一員として一元化・一体化することが必要と考えております。今後は東南アジア市場に欧州市場を加えた2極体制により、品質管理、製造管理、情報管理などの一元化・一体化を進めるとともに、製品開発、ブランド育成、及びマーケティングノウハウなど、日本で培ったビジネスモデルを活かし市場を開拓することで、セルフメディケーションの浸透及び事業の拡大に努めてまいります。

医薬事業の分野では、創薬ターゲットの変化や新しい医療技術の発展により、研究・検査・治療の手法が変わりました。医療費効率化に向けたジェネリック医薬品の推進、薬価制度の改革も進んでおります。この市場環境の中、自社オリジナル創製品である「ルセフィ」「ロコア」の最大化、またパイプラインを補うための後期開発品及び製品の導入に注力しております。中長期においては、外部研究機関や他社との連携強化を図り、先端技術を取り込むことで、研究開発機能を拡充し、新薬創出を通じた持続的な成長を目指してまいります。

最後に

医薬品業界を取り巻く事業環境は厳しさを増していますが、変化への積極的な対応なくして成長はあり得ません。当社グループでも既存の事業領域にとらわれずに、新しい事業の種を探索するなど新しい取り組みを進めてまいります。

大正製薬ホールディングスは、いかなる環境変化にも機動的に経営判断できる体制構築と併せてコーポレートガバナンスの強化に努め、グループ全体で価値創造力向上を図っていく所存です。今後とも一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2020年10月