コンプライアンス

コンプライアンスへの取り組み

私たち大正製薬は、「健康と美を願う生活者に納得していただける優れた医薬品・健康関連商品、情報及びサービスを、社会から支持される方法で創造・提供することにより、社会に貢献する」ことを経営理念における使命として、創業の精神である『紳商※としての企業活動』という考え方を大切にし、誠実に熱心に事業活動を展開していくことを心掛けてきました。全従業員が、この考え方を正しく理解し、各自の職務において常に実践できるように、全社をあげてコンプライアンスに取り組んでいます。

  • ※紳商とは、法律を犯さない、約束を守る、嘘をつかない、弱いものいじめをしない等の倫理を守ること。そして相手および社会と利益を共有することです。私たちは活動する全ての国と地域において、常に紳士の商人としてふるまい、社会の期待に応えていきます。

コンプライアンス体制

当社では国内及び、海外子会社も含め、コンプライアンスへの取り組みを確実に推進していくために、コンプライアンス担当役員を全役員が補佐し、全社におけるコンプライアンスの啓発を担っています。また専門部署としてインターナルアフェアーズ部を設定しています。
部署長とグループマネージャーは部署・グループにおいて、コンプライアンスの徹底のため、モニタリング及び教育・啓発活動を推進しています。各部署には、コンプライアンス委員が原則2名置かれ、部署長によるコンプライアンスの普及を補佐し、職場におけるモニタリングや従業員からの相談に対応しています。

コンプライアンス指針の整備

大正製薬ではこれまでに、会社の使命実現に向かって活動する際の判断基準や、様々な職場で行動する際の基本的な指針となる、大正製薬「全社行動指針」を、また社会の変化を勘案し、役員と全従業員が事業活動を行う上で遵守するべき事項を盛り込んだ「企業行動宣言」を新たに制定して社内外へ公表してきました。


さらに当社では近年、M&A等によりインドネシア、ベトナム、マレーシア等の東南アジアや、またフランスでの事業基盤を獲得してきたことで従業員の外国人比率も高まり、全従業員の半数以上が外国人となりました。そのような中、新たに一員として加わった従業員にも当社の経営理念・大切にしている思いを正しく理解してもらうことが重要であると考え、「TAISHO WAY」を作成しています。
また、事業活動の拡大に期待が高まる一方で、活動を行う国や地域では、責任ある行動が強く求められるようになります。国や地域が異なれば、言語はもちろん、宗教、社会、制度、価値観など、文化の多様性を尊重し、それぞれの独自性を生かして強みに変えていく必要があります。そこで、国際的な競争の中でも着実に成長・発展を続けられるよう、一層強固な経営基盤の構築に向け、当社グループ全従業員の行動指針である「グローバルコンプライアンス・ガイドライン」を制定しました。
いずれも、日本語のみならず海外子会社の全現地語で作成し、冊子での配布またはイントラ内で掲載をしています。従業員がいつでも読むことができる環境を整えることで、常に国内外問わず全従業員が共通した意識で活動できることを目指します。

コンプライアンス教育

当社では全従業員がコンプライアンスに対する理解を深め、自分ごととして意識し実践するために、従業員を対象とした勉強会を毎年実施しています。コロナ禍の2020年度以降はオンラインを使っての研修環境を整え、施行・改正法令の注意事項についての研修動画をイントラ内に掲載、また全社共通基礎教育の一環として各部門にて約3,000名を対象としたコンプライアンス勉強会を実施しました。マネージャー以上に対する階層別研修においても、法令遵守やハラスメントに対して適切な認識を持つため、オンラインを使ったリモート形式での勉強会を行いました。
海外子会社では贈収賄防止法、競争法、情報セキュリティなど、守るべき必須法令についてもオンラインでの学習を順次開始しています。

こうした研修に加えて、「TAISHO WAY」、「グローバルコンプライアンス・ガイドライン」を使った研修を行うことでコンプライアンスに関するあらゆる知識の習得と理解の浸透の両方を実現させ、大正製薬グループの持続的な成長を目指します。

各国の法令や社会規範の遵守

当社では各国の法令・規則、社会規範、ビジネスルール、社内規程などを遵守するとともに、それらが制定されている目的や趣旨についても理解、尊重した行動を取ることを「グローバルコンプライアンス・ガイドライン」に明記し、全従業員への徹底を図っています。

社会規範の遵守や腐敗防止へのコミットメント

  • 生活者の健康に資する医薬品を開発、生産、販売するとともに、情報及びサービスを提供する企業に従事する者として、生命の尊厳、医薬に関する社会的な良識を保ちながら誠実に行動します。
  • 各国の関連法令などに沿って、製品に関わる安全性情報の収集を継続的に行い、必要に応じて関係当局へ適切に報告を行います。
  • 行政や医療関係者との適正な関係を維持するために十分な注意を払います。特に、各国の公務員、外国公務員、又はこれに準じる者への違法な金品の提供等不正な行為は決して行いません。
  • また我々は常に法律や社会常識を意識して、違法行為や反社会的行為を見過ごすことなく、良識を持って行動し、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力及び団体からの要求には一切応じません。

贈収賄の防止

当社は特定の得意先、取引先に有利な待遇を与えたり、優越的地位を行使したりすることなく、関係法令を遵守して、適正な契約および取引を行っています。いかなる取引であれ、得意先、取引先との癒着とみなされる行為を禁止しています。

贈収賄に関しても、不適切な関係が生じる、またそのような印象を与えかねないような金品や接待の提供、その他さまざまな便宜供与といった行為や、自らの立場や関係を利用して得意先や取引先に金品・接待・その他さまざまな便宜の提供を求める行為を禁止し国内外の従業員に徹底しています。

独占禁止法及び各国の競争法の遵守(業界他社との関係)

当社では常に誠実で公平かつ合法的に事業展開を行っており、独占禁止法及び各国の競争法で禁止されているカルテル・入札談合、または違反を疑われる行為を一切禁止しています。特許権、商標権及び医薬開発技術に関するノウハウといった無形資産についても適切に管理することによって、企業としての競争力を維持しています。また他社の知的財産権を侵害する行為を禁止しています。

情報の保全と保護

当社では事業活動を通じて得られた機密情報の重要性を認識し、厳重かつ適切に管理しています。機密情報の社内での共有については、厳に情報を必要とする社員のみとしています。もし、当該情報を第三者に開示しなければいけない場合は、社内の規定に沿って開示先との秘密保持契約の締結等必要な手順を踏み、その第三者への開示が法令、契約に反していないことを確認した上で、実施いたします。また退職後であっても、在職中に知り得た機密情報を他人に提供することを禁止しています。業務上知り得た生活者、従業員及び取引先等の個人情報は、対象となる業務目的のみに使用し、情報の収集、利用、保管、そして廃棄といったプロセス全体に細心の注意を払い、第三者に情報が漏洩しないよう厳重に管理します。保管している個人情報については毀損又は不正なアクセスが行われないよう、安全管理の徹底を行っています。また、お客様の個人情報の保護等を必要とする関連業務を外部に委託する場合には、個人情報を適正に取扱う委託先を選定した上で、適正な取扱いを確保するための契約を締結し、委託先において個人情報の安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行っています。個人情報の国外移転に関しては、厳しい制限が課せられている国があります。たとえグループ会社間であっても、情報を共有することが問題ないか、確認を行っています。

内部通報窓口

「グループ内部通報規程」に基づき、会社における法令、倫理、社内規程に違反する行為等に関する相談などを受け付ける「コンプライアンスホットライン」「ハラスメントホットライン」や社外への相談窓口「社外弁護士ホットライン」等を幅広く整備しています。また海外子会社においては内部通報窓口を統一するとともに、すべての従業員に対してその存在を啓発することで内部通報体制の強化を図っています。なお、これらの内部通報窓口は大正製薬グループの従業員はもとより、契約社員、パート従業員、派遣社員などにも広く開かれており、いずれの場合も公益通報者保護法、及び社内規程である「グループ内部通報規程」に則り、相談者のプライバシーが保護され、関係者には守秘義務が十分に課せられています。

アンケートの実施

当社では海外子会社従業員がコンプライアンス教育で理解した「持つべき倫理観」や「守るべき法令」を自分ごととして日々の業務にあたっているか、また内部通報窓口の存在や仕組みを正しく理解しているか、さらにハラスメントの有無等、コンプライアンス全般に関するアンケートを実施し確認しています。これらのアンケートの結果を各海外子会社のコンプライアンス担当者と共有し、さらなるコンプライアンス教育の充実を図っています。

医薬品の研究開発に求められる配慮

ヒト由来試料を使用する際は、「ヘルシンキ宣言」や指針などに則り、人権の尊重、安全確保、個人情報保護、生命倫理などに十分考慮して制定した社内規程※1のもと、社外有識者を含む倫理委員会で公正かつ中立な審議を行った上で研究を行っています。

化合物、放射性同位元素、遺伝子組換え生物あるいは感染性物質・病原体を使用する際は、法令や指針などに則り、適切な保管管理体制を制定した社内規定※2のもと、環境への配慮、生物の多様性の確保、ヒトの生命及び健康の維持のために慎重に取り扱っています。

動物実験を実施する際は、「動物の愛護及び管理に関する法律」などの法令に則り、福祉的な理念である3Rs※3を基本として制定した社内規程※4のもと、動物実験委員会で動物実験計画を審査した上で、動物実験を行っています。

なお、動物施設は一般財団法人日本医薬情報センターによる動物実験実施施設認証を取得しており、病原体・遺伝子施設は認定特定非営利活動法人バイオメディカルサイエンス研究会による視察を受け、適切な運営を行っています。

  • ※1 ヒト試料・情報を用いる研究に関する倫理規程
  • ※2 法規制物質安全管理規程、放射線障害予防規程、遺伝子組換え実験安全管理規程、病原体等安全管理規程
  • ※3 3Rs:Replacement(動物実験に代わる方法の利用)、Reduction(動物数を減らす)、Refinement(苦痛を和らげる)の頭文字
  • ※4 動物実験に関する規程